サポートブック(と言うほどでもないもの)を作ってみた。
この春から年中さんになったシロ、荒れています。
去年の今頃も環境の変化に対する不安で荒れてはいたのですが、今年の荒れ方は激しいです。
クラスメイトとのトラブルもちょいちょいあるようで、あまりストレスが体に出ることのない私が胃痛に悩まされるという何とも情けないことになっております。とほほ。
そんな中、今まで伸ばし伸ばしにしてきたシロのサポートブックにようやく着手しました。
長所は簡単なので誰にでもすぐ作れること、短所は簡易的過ぎてこれを読んでくださっている誰の参考にもならないのではないかという感じなのですが、少し紹介してみようと思います。
・何故簡易的なのか。
ひとつは保育園が二年目であるということと担任が持ち上がりであるということ。
つまり基本的にシロのことを既にある程度わかってくれている場所や人に向けて作成しているからです。
(勿論新任や異動で新しく来られた先生もいらっしゃるので、そういった方にもなるべくわかるようにはしましたが)
そして保育園生活の中で必要であろうことに内容を限定していること。
最後にあまり長々と書くと読みづらくなる=読んでもらえなくなる可能性があるということ。
これらを踏まえた結果、「シロ語」「ジェスチャー」「パニック時の対応」にひとまず内容を絞りました。
用意したのはA5サイズのバインダーとルーズリーフ(いずれも100均)です。
・シロ語。
シロは発音できる音が少ない上に滑舌も良くないので、一度で何を言ってるかわかる言葉は正直少ないです。
また、単語の頭だけ言う(「赤」を「あ」と言う、など)というのも多いので、なかなか伝わりにくいです。
そこでシロ語翻訳表を作りました。
ちなみに画像の通り、言葉+ジェスチャーはこっちのカテゴリーに入れました。
今のところあまり多くないので。
※追記:画像の中の「手をそえる」の字が違いますね・・・。「添える」ですな。恥ずかしー!
・ジェスチャー。
ジェスチャーはシロのコミュニケーションツールとしてはかなり大きな割合を占めるので、なるべくわかりやすく図解しました。
が、わかりやすくなりませんでした・・・。
絵が下手すぎるのは目をつむってください(関係ないけど発達障害のお子さんがいらっしゃる方って絵が上手な人が多い気がします。私は絵が下手なのでうらやましいです)
・パニック時の対応。
これは是非とも先生方には知ってほしいことだったので、少し長くなりましたが文章にしてお願いしました。
・まとめ。
あまり詳しく内容をお見せすることは出来ないので申し訳ないのですが、大体こんな感じです。
プラス軽い基本情報(好きなものや苦手なもの、字や時計が読めるか等)をそえました。
サポートブックというよりは、シロのコミュニケーションツールの辞書みたいな感じです。
使っているジェスチャーが、例えばマカトンサインのようなひな型があるようなものであればまだ良いのですが、シロの場合殆どが自分で考えたオリジナルなのでやはり翻訳するものは必要でした。
本当は保育園入園してすぐに先生にお渡しするべきだったんですよね。
ぐずぐずとしている間にこんなに時間が過ぎてしまいました。過ぎすぎ。
こんなちょっとしたものでも、恐らくあるのとないのとでは随分違ってくると思います。
初めから完璧なものを作ろうとあまり気負いすぎず最初は最低限から、そしておいおい付け足していくような形でも良いのではないかと(私はそのようにしています)。
「あ!あれも書いとけば良かった!」って後から思い出すこともありますし。
サポートブックに関しては書籍も出ていますしネットにも無料のテンプレートや実際に作られた方のブログ等もあります。
http://nanaio.hatenablog.com/entry/2015/02/24/141137
今回私が参考にさせて頂いたなないおさんのブログです。
サポートブックの作り方について分かりやすく情報が記載されています。
良かったらこちらも。
背が伸びたキミと花粉症になったワタシ。
先日の世界自閉症啓発デーコラボ企画まで、半年以上もの間ブログを放置していました。
ブログほどではないですが、Twitterも結構放置気味になっていました。
理由は単純に忙しかったからです。
忙しいと言えどパートの仕事と家事育児くらいしかしていないのですが、何と言うかこう、思考する時間とそれをまとめる時間、アウトプットする時間が捻出できなかったのです。
今日は特にこれというお題があるわけじゃないけれど、私やシロの近況などを思いつくままに書いてみようと思います。
わー、なんだか日記っぽいね。
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・進級しました。
保育園生活も2年目に突入。シロは無事に年中さんになりました。
3月下旬辺りから「4月からは年中さんになるよ。お部屋の場所も変わるしクラスの名前も変わるよ」と家でそれとなく言い聞かせてきたのと保育園でも先生から言われていたのとで進級すること自体は何となくわかってはいたようです。
そして迎えた新年度初日。
クラス分け表を見ようともせず教室まで目をつむって歩いたシロ、保育時間の殆どをフリーズ状態で過ごしたようです。
先生もどこにいるか探してしまうほどの静かさだったと。
そして2日目である今日は一転、自転車に乗って保育園到着するや否や大号泣。
涙のお別れになってしまいました。
1日目と2日目、表出の仕方は違うけれどどちらもパニックです。
かつての私にとって、クラス替えは楽しみな行事でした。
何組になったのかな、教室の場所はどこかな、先生は誰かな、どんな人がいるのかな。
私が大きな期待とちょっぴりの不安で胸を膨らませていたこの時期。
シロにとっては大きな大きな不安なのだと思います。
幸い担任の先生の一人は持ち上がりで前年度と同じだし、シロも保育園そのものが嫌いなわけではないので、ゆっくりと不安が取り除かれていってくれたらと思っています。
(個人的にはシロや私と仲良くしてく入れていた子(とお母さん)がことごとく別のクラスになってしまい(2クラスしかないのに)がびーん!な気持ちでいっぱい。)
あと、新しく担任に加わった先生と去年からいらっしゃる先生方に向けて、今年度はサポートブックを作ろうかなと。
もう新年度始まってるよ!おせーよ!という感じなのですが、頑張ります。今から。
・言葉がちょーっとだけ増えた。
しばらく前の話なのですが、シロが「ぶ」「ぷ」という音を発音できるようになりました。
それにより、しばしば「ぶっぶー」と言うようになりました。
これはいくつか意味があって「ダメ」とか「イヤ」とか「しない」とか「間違い」とか。
要は「×なこと、否定の意味」みたいな感じですね。
首振り以外のノーを伝える手段になりました。
それから止まれとか進入禁止とかの赤い標識を見ると必ず「ぶっぶー」と言います。
赤信号も。
まぁ間違いでもないのでそのままにしていますが。
(ちなみに青い標識は手で○としています)
・食の好みが変わった。母が本腰入れようと思った。
以前にも書いたことがあるかもしれませんが、シロは本当に食べるのが好きです。
好き嫌いもあまりないので、今までシロの食についてあまり苦労をしたことがありませんでした。
が、最近になりしばしば食事を多く残すようになりました。
お腹の調子があまり良くないこともあります。
お菓子を覚えてしまったこともあります。
ご飯より遊びが気になるようになってきたこともあります。
それに加えて「味」がわかるようになってきたような気がします。
あと、見た目で選ぶようにも。
私はシロが何でもよく食べてくれるのをいいことに、栄養のことは考えるわりに見た目をあまり重視しないご飯を作ってきました。
この長年さぼっていたツケが今になってきました。
母反省、です。
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今回はあまり深く考えず近況などをつらつらと書いてみました。
シロは相変わらずアンパンマンとトーマスが好きで歌が好きで踊るのが好きな自閉っ子で、私は相変わらず痩せたいと思いながらついつい食べ過ぎてしまうただのお母さんです。
日々色々あるけれど、総じて楽しく暮らしています。
春ですね。
では、また。
追伸:タイトルはそのままの意味です(涙)
こころはいつもそこに佇んでいた~世界自閉症啓発デーに寄せて~
気付いたら半年以上も放置していたブログ。
久しぶりの記事は、昨年も参加させていただいたなないおさん主催の世界自閉症啓発デーコラボ企画です。
昨年の記事はこんな感じでした。
今年は「嬉しかった(お願いしたい)配慮とありがとうの気持ち」がテーマということで、私という一人の母親の目線から書いてみようと思います。
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息子シロは今年5歳になります。
3歳のときに自閉症スペクトラムの診断を受けました。
具体的な特性としては色々あるのですが、主に強いこだわりや落ち着きのなさ(多動)、強い衝動性、それに著しい言語発達の遅れ等があります。
そんな私たち母子が(というか主に私がですが)一番ありがたかった配慮。
それは「基本的に自由行動」「時の流れを視覚化」です。
・「基本的に自由行動」って?
私は基本的に「子連れ同士で○○」が非常に苦手です。
特に小さい子供がいるとたまーにありますよね。
例えばママ友親子何組かと子連れでランチとか子連れで公園行こうとかショッピング行こうとかテーマパーク行こうとか。
これ、みんなと一緒に行動することがほぼほぼ不可能なんです。
勿論シロが行くのを嫌がったら断るのですけど(無理やり連れて行ってもパニックになるので)嫌がってないからといってみんなと同じ行動をするかといえばそうではないわけで。
シロはシロのペースやタイミングで歩いたり走ったり、或いは帰りたがったり。
「放っておいたらそのうち戻ってくるだろう」という子でもないので、駆け出してしまったら勿論私も追いかけなければいけません。
衝動性が強く、何か興味を引くものを見つけたらそこにまっしぐら。そうなると同行者のことは頭から消えてしまうからです。
「きいろさんだけ話に入れなくて気の毒」
「他の子もいるし少々離れても大丈夫だよ。こっちきて話そうよ」
「シロくんまだ帰るまで時間かりそう?じゃあ来るまで先に駅で待ってるね」
「シロくんそっちの車両に行くの?じゃあ私たちも移動する?」
こういった言葉はありがたくもあるのですが、ちょっと申し訳なさ過ぎて辛くなるときがあります。
「今日は基本的に自由行動にしよう」
この一言が、今までのどんな気遣いの言葉よりも嬉しかったんです。
一緒に行動するのも、一緒に遊ぶのも自由。
一人で走るのも自由。
乗りたい電車や車両を選ぶのも自由。
もし、これを読んでくださっている方で(特に)幼児のお子さんがいらっしゃる方がいたら。
そして子連れでお出かけしたときに同行者の中にちょっと気になる感じのお子さんがいたら。
基本的に自由で、と言うと相手のお母さんの気がちょっと軽くなる、かもしれません。
・「時の流れを視覚化」って?
次は、保育園でありがたかった配慮の話。
シロは夕方の5時になったら保育園に迎えに行きます。
保育園では送り迎えの時間は子供によって違うので、早い子は4時過ぎ辺りからお迎えが来ます。
シロは数字が好きという特性を持っていたため、比較的早くから時計を読むことが出来ました。
が、衝動性を抑えることが難しいシロは、他のお母さんがお迎えにきはじめると教室を飛び出して玄関まで行ってしまいます。
また、時計を読むことは出来ても「あと○分で迎えに来る」という見通しを時計だけで持つのは難しく、不安もあったようです。
私もなるべく少し早めに迎えに行くようにはしているのですが、仕事もあるので4時などは難しく。
そんなことがしばらく続き、保育園が用意してくれたのがこちら。
シロが落ち着かなくなるのは大体4時から4時半くらい。
その辺りにタイマーを5時になるようにセットします。
タイマーが動き始めると↑の画像の40の部分にある針が0に向かって時計回りに動き出します。
それに伴って赤い部分がどんどん小さくなってゆきます。
最終的に0になったところで赤い部分は消えて、アラームが鳴る仕組みです。
シロの飛び出しが増え始めたころ、私はシロのロッカーにアナログ時計の5時の絵を貼り付けました。
時計がこれになったら来るからね、それまで待っててね、と。
毎朝確認しました。
シロは「うん」と言いました。
最初の数日は効果がありました。
しかしすぐに再び飛び出すようになりました。
私の絵とこのタイマーの違いは「時の"流れ"が視覚化されている」ということです。
シロの持つ自閉症特性の中に視覚の強さがあります。
耳だけで聞いたことは頭に残りにくい反面、目で見たことには理解も早く頭に残りやすいです。
飛び出したくなる衝動にかられたとき、目の前に視覚化された「時の流れ」がある。
更に数字好きなことも手伝って、今ではお迎えまでの時間を落ち着いて過ごすことが増えました。
シロは先がわからないことや不測の事態が苦手です。
が、見通しが持てればとてもスムーズに過ごすことが出来ます。
今保育園で比較的穏やかに過ごすことが出来ているのも、細やかな配慮があるからだと思います。
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今回、自閉症とは何ぞや、発達障害とは何ぞやといった説明は割愛しています。
そのせいで若干わかりづらい箇所がありましたら申し訳ございません。
冒頭にリンクを貼った去年のコラボ記事には簡単にですが何ぞやにも触れていますので、良かったらそちらもあわせて読んで頂ければとても嬉しいです。
それでは最後に。
私は当事者ではなく、一人の自閉症児の母親です。
なのでもしかするとシロの本心はこのブログの中にはないかもしれません。
あくまで保護者である私が助かったと思っているだけなのかもしれません。
ただ、言えるのは。
私は別に特別でもない、どこにでもいるごく普通の母親だということ。
だからこれを読んでくださっている誰かの周りにもきっと、一人くらいは私みたいな人がいるかもしれないということ。
そんな人のちょっと漏れた心の声がこのブログ、なのかもしれないということ。
見通し・視覚化・100均(または不器用な親に捧ぐ)
シロは今年度保育園に入園しました。
前年度通っていたプレ幼稚園は週二日でしたが保育園は基本的に毎日。
家を出る時間も幼稚園のときより早いです。
私も仕事が始まりました。
シロは最初こそ嫌がって泣いていたものの、今では楽しんで通っています。
本人の様子を見ていても先生のお話を聞いても概ね順調なようです。
さて、先ほど保育園は基本的に毎日を書きましたが厳密には毎日ではありません。
土日祝日は休みですし、それ以外にも週1回の療育や不定期の通院などが入れば保育園はお休みです。
そんな中でシロは今日は何処へ行く日なのか、或いはお休みなのかがわからずどのように支度を進めて良いか混乱し、ぐずぐずになることが度々ありました。
本人がなるべくストレスなく支度を進められるようにするにはどうすれば良いか。
私はとりあえず見通しが持てるようなものは出来る限り視覚化してみることにしました。
・日にちを意識する。
まず、シロ専用のカレンダーを買ってきました。
時期も中途半端だったのでカレンダー自体なかなか売っておらず、結局何軒目かの100均で見つけた卓上タイプのものに。
とはいえ卓上に置くとシロはおもちゃにしてしまいそうな気がしたので、壁に貼り付けました。
てんとうむしのシールが療育、緑色の丸印が保育園の日です。
あとは不定期な予定などもシールや絵で書いていきます。
(ろうそくのシールはシロのお誕生日。)
そして朝起きるとすぐに、昨日の日付に×をします。
これによって日にちを意識することが出来、今日は保育園なのか療育なのかお休みなのかの見通しが立ちやすくなりました。
ちなみにカレンダーの隣にはデジタル時計を置いています。
これも見通し用。
(そしてその上に少し写ってるのは一昨年のシロ画伯の作品。)
・一日の流れを知る。
一日の中でも何をしたら良いのかわからなくて戸惑うことはありました。
なので、スケジュール表を作ることにしました。
にののさんの朝のしたく表。
本当はこれを作りたかったのです。
が、私は不器用な上に家にプリンターがなく、絵カードをネットからプリントアウトすることが出来ない。かといって絵心もない。
何とかして簡略化しつつもシロにとって使いやすいものは出来ないか。
と考えて作ったものがこちら。
超簡略化です。
両面磁石にやることを書いてホワイトボードに貼っているだけです。
シロにとって大切なのは「見通しを視覚化すること」であって、目で見てわかるものであれば必ずしも絵カードでなくても良いのです。
幸いシロは字だけでもわかるタイプなのでこういうシンプルなものになりました。
絵を描かずに済んで本当に良かった。
「テレビ」などは別にスケジュールになくても良さそうなものなのですが、逆にこれがあることによって区切りを付けやすくなりました。
終わったらひっくり返します。裏はこんな感じ。
こんな簡単なものを参考にする人もいないと思うのですが一応書くと、大きな両面磁石をいい感じの大きさに切り、インデックスシールにやることを書いて貼ります。
これ、最近作り直したのですが、前は磁石にマジックで直接書いていたのです。
が、使っていくうちにマジックが消えていくので紙媒体に書いて貼ったほうが良いです。
材料は全部100均で揃います。100均ってすごいなー好きだなー。
スケジュール表を作るとき、私はひとつ気がかりなことがありました。
それは「スケジュールをこなすことがこだわりになりはしないか」ということです。
何らかの理由でいつもと異なるスケジュールになったときシロは果たして対応できるのか。
などと思っていました。
今のところ「スケジュールをこなすことがこだわり化している」とは特に感じていません。
もしかするとこだわり化しているのかもしれませんが、スケジュール表に挙げているのはどのみち基本的に毎日こなさなければならないもの(食事、歯みがき、入浴など)が殆どですので、生活に悪影響は出てないです。
・その後。
先述のとおり、シロは朝起きたらまず昨日の日付に×印を付けます。
スケジュールは夜寝る前に朝の分を自分で貼ります。
ちなみにスケジュールは夜用もあって(夕飯~寝るまで)それは保育園から帰ってきてから貼っています。
自分で順番どおり貼れるくらいなので本当はもうなくても問題なく支度が出来るのではないかと思うのですが、なくすのはイヤだそうです。
そろそろ来年のカレンダーが並び始めましたね。
次はもうちょっとシロ好みのものを買ってあげよう。
まだ店頭に色んな種類があるうちに。
などと思いながらカレンダー売り場を眺めているここ最近です。
当たり前のことを、当たり前じゃない形でも ~PECSを使って~
以前からいつか書こうと思いつつ書かなかったPECSの話。
シロがあまり活用できてなかったこともあったのですが最近ようやっと軌道に乗ってきた感じなので、記事にまとめてみようと思います。
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・PECSとは?
PECSとはPicture Exchange Communication Systemの略、絵カード交換式コミュニケーションシステムのことです。
大きな特徴としては「自発的なコミュニケーションを促すことが出来る」という点。
相手からの声かけや質問、提案を待つばかりではなく、絵カードを手渡すことによって自ら確実に要求を伝えることが出来る。
言葉という普段私たちが当たり前に使っているツールを上手く使うことが出来ない子には非常に有効な意思疎通の手段であると言えます。
日本におけるPECS普及に尽力されている児童精神科医の門眞一郎先生のサイト「児童精神科医 門眞一郎の落書帳(http://www.eonet.ne.jp/~skado/index.htm)」内の「第3分冊 PECSに惚れ込んでいる私を知りたい方のために」の頁にとてもわかりやすく詳しく書かれていますので、良かったらこちらも。
(もしかしたらうまく飛べないかもしれません。その際はURLを直接貼ってください。ゴメンナサイ。)
・準備、そして教える。
まずは絵カードを用意しました。
絵カードはネットからも色々ダウンロードできますし勿論手作りも出来るのですが、うちは無難に購入しました。
http://www.pecs-japan.com/catalog/product_info.php?cPath=21&products_id=36
ピラミッド社の絵カード。
サイズも色々あるのですが、うちは携帯することを考えて小にしました。
次にブックの準備。
ブックは絵カードを収納するものです。
一緒に購入しても良かったのですが、ブックくらいは自分で作れそうな気がしたので挑戦しました。
100均で二つ穴リングのファイルとマジックテープ、二つ穴開けのパンチを購入。
中の台紙にマジックテープのハードのほうを細く切ってくっつけます。
カードの裏にはソフトのほうをぺたんと。
写真を見せたほうが早そうなので、こちら。
汚くて申し訳ないです・・・。
このファイルはもともとフォトアルバムとして売っているもので中に写真を挟む台紙が数枚付いていたので、それをそのまま絵カード収納用の台紙として使っています。
このような感じでよく使いそうなカードは収納しています。
表紙は後ほど。
さて、カードの用意は出来ました。
次はいよいよシロに使い方を教えます。
PECSを教える際は通常二人のトレーナーが必要になります。
一人は子どもに後ろから手を添えて、絵カードの選び取り→相手に手渡すまでを一緒に行うプロンプター、もう一人は絵カードを受け取って要求の対象を手渡すコミュニケーションパートナーです。
うちではPECS研修も受けて専門性の高い夫がプロンプター、普段シロの要求を受けることが多いであろう私がコミュニケーションパートナーになりました。
①夫が手を添えて要求のカードを選び、私に手渡す
②私は書かれているものを復唱し、シロに手渡す
③要求を伝えられたことを私と夫で褒める
最初は戸惑っていた様子のシロも要求が伝わることがだんだんわかってくると少しずつではありますが自ら絵カードを使用するようになりました。
・どのように使っているのか~シロの場合~
朝食の時の様子です。
これが先ほどのブックの表紙。
上段には横長にマジックテープ(ハード)が貼られています。
オレンジの台紙は表面にハード、裏面にソフトのマジックテープが貼られており、上段と同様下段にも貼られているハードのマジックテープの上にくっついてる状態です。
ちなみにオレンジの台紙は家で使わなくなったA4ファイルの表紙を切り取って角を落として作りました。
上段に貼られているカードは朝食のメニューです。
シロはまずこれを自分で台紙から表紙に貼ってスタンバイします。
そして朝食。
しばらくするとシロが用意するのがこれ。
(「ちょうだい」だけ様子が違うのは作ったカードだからです)
カード一枚だけなら直接手渡しで良いのですが、例えば↑のように複数のカードを使用する場合、オレンジの台紙を表紙から外して手渡せば複数の要求や文章を伝達することも可能になるわけです。
なのでシロはこれを貼ってオレンジの台紙をはがして私のところへ持ってきます・・・と言いたい所なのですが、実際はまだカードだけ手渡しです。
どうもオレンジの台紙の使い方がイマイチわかっていない様子。
まだまだ使いこなせてるとは言えませんが、こんな感じでシロ本人も楽しみながら使っています。
ちなみにこの写真、ぶれててわかりにくいのですが、オレンジに「みず」「おちゃ」「ちょうだい」のカードが貼られています。
これは「水でコップを洗ってそこにお茶を入れてちょうだい」ということです。
(朝、牛乳が入っていたコップをそのままお茶にも使いたがるのです。でも牛乳とお茶が混じるのは嫌だから一回洗え、と・・・)
ちょっとわかりにくいですね。
名詞のカードが多いので仕方ないのですが、動詞や形容詞なども徐々に取り入れていきたいところです。
・最後に。
「絵カードを使うことでかえって言葉が出なくなるのではないか」
今でもそういった話を時々聞きます。
私は専門家ではないのではっきりしたことを断言は出来ないのですが、絵カードを使うことがそのまま言語の遅れに繋がることはないと思います。
シロは間もなく4歳になりますが未だに「話す」というところに至っていません。
自閉とどのくらいの関連があるのか私にはわかりませんが、どうやら舌の動きが良くないらしく言語療法にも通い始めました。
それでもいつ話せるようになるのか、私は勿論専門家にもシロ本人にだってわかりません。
話せない子はコミュニケーションを諦めるしかないのか。
代替のツールがあるなら、そして本人に使う意思があるなら使えばよいのではないか。
外国の人と話すときに通訳がいれば円滑に会話が進むように。
絵カードもその他の代替ツールも、それ自体が悪いものではないのです。
使い方、なのだと思います。
シロがこのまま一生話せなかったとしてもかまわない、と言えば嘘になります。
ただ、言葉を話すことが出来なかったとしてもシロと「会話」をしたいと思うのです。
こんなことがあったよ。
うれしかった、悲しかった。
あれがほしい、こうしてほしい。
当たり前の「形」じゃなくても、当たり前の「会話」が出来たら嬉しいなと思うのです。
そして更に望むならば、当たり前じゃないことがいつか、当たり前の風景となりますように。
言葉を「感じる」こと。
言葉を「字義通り」に捉える長女〜自閉症スペクトラム障害の一特性 - にののシステム科学講座
こちらのにののさんのエントリーの中に「否定的な言葉をストレートに受け止めてしまう問題」という言葉がありました。
否定的に限らず言葉を字義通りに捉えてしまう。
裏の意味を読み解くことが難しい。
スルーすることが苦手。
自閉傾向にある方にはこういったことが見られることがあります。
ここでいつものように、シロにあてはめて考察して行こうと思います。
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かつて障害児施設で働き始めたばかりの頃です。
利用者の中に一人の中学生の男の子がいたのですが、先輩職員に
「この子はダメとか否定的な言葉を言われるとパニックになりやすい。そういった言葉は使わないように」と言われました。
私はそれを心に留めていたのですが、ある時ちょっとしたきっかけで「そんなことをしたらあかんよ」と口に出してしまったのです。
するとそれまで飄々と遊んでいた子が突然大声で叫びました。
幸いそれを聞いた先輩職員がすぐにフォローに入ってくれたこともあり、パニックはそれ以上大きくならずにその子自身もすぐに持ち直したのですが、私は自分の認識の甘さにショックを受け、そして途方にくれました。
いたずらであったり危険な行為をする子に「○○したらダメだよ」と言うのはごく普通で当たり前のことだと思っていたからです。
他にやめさせる方法がわかりませんでした。
先輩職員の方々の対応を観察しました。
そして私は、否定的な言葉を使わなくても危険回避は出来るのだということを少しずつ学んでいきました。
何が危ないか何がよくないか、代わりにこういう風にしてみたらどうか。
全く別の行為や遊びを提案してみたり。
ダメ、のその先をきちんと説明すること。
そんなことも怠っていたのですね。日常生活においても。
シロが生まれる何年も前の、まだ結婚もしてなかった頃の話です。
仕事を始めたばかりの私は本当に無知でした。今書いてても恥ずかしい。
にののさんのブログの中にもリンクが貼られていますが、
こちらの「あったかい言葉」と「つめたい言葉」、シロはわかりやすく「つめたい言葉」が苦手です。
言葉の内容だけでなく、私の声色(怒ってちょっと低くなったり)や表情なんかでも軽くパニックになることもあります。
実は私、シロが生まれたばかりの頃から意識的になるべくつめたい言葉を使わないようにしてきました。
「嫌い、うるさい、鬱陶しい」は未だに一度も使ったことがありません。
なのでそれらの言葉の意味すらわかってないんじゃないかと思っていたのですが、先日保育園で同じクラスの女の子に何かの拍子で「シロくん、前におもちゃ取ったからキラーイ」と言われたシロは大号泣。
女の子も多分本気で言ったのではなく、ちょっとしたお母さん(私)に告げ口してやろうみたいなノリだったのだと思います。
それをシロは恐らく言葉通りに深く深く受け止め、号泣したのでした。
「嫌い」の意味をわかってるんだなあ。
逆にあなたが好きだと、大好きだと伝えると抱きついてきます。
そして頬をすりすりと寄せてきます。
勿論、わかっています、「好き」も。
シロは喋れないので特にコミュニケーションが難しいです。
最近はかなりの力わざでジェスチャーや指差しやカードなどをフル活用し頑張って伝えようとしていますが、それでも言葉でのコミュニケーションに比べたらやはり伝わりにくいですし、感情の言語化はまだまだ難しいです。
でも、それで何も感じていないというわけではありません。
喋れない子もお喋りが止まらない子も暴言を吐いちゃう子も表情が乏しい子も人よりモノに興味がある子も。
感じています。
私たちと同じように。
作戦は「いのちをだいじに」
先日、話の流れでこんなことをツイートしました。
@signe705 @azako0310 ついつい頑張りすぎて「ガンガンいこうぜ」になっちゃうのよねー。ほんと、からだだいじに。だわ。
— きいろ (@sora_mamecco) 2015, 6月 20
これは重い幼児の抱っこを無理して体を壊さないようにねーといった話からだったのですが、抱っこに限らず育児ってついつい「ガンガンいこうぜ」になっちゃうよなーと思いまして。
今回はそんなことからふらふらと考えてたお話です。
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シロを出産した病院では原則として産後すぐに母子同室、母は病室のベッドで、赤ちゃんはコット(産院によくある新生児を寝かせるプラスチック製のキャリーベッド?みたいなアレ)でねんねでした。
ところがシロはあのコットを猛烈に嫌がり、寝かせたものならいつまでも号泣。
日中はまだしも夜間まで号泣されてはこっちも精神的にきついしおちおち寝ていられないので、シロは生まれたその日から私のベッドで一緒に寝ていました。
大人一人サイズのベッドに+1人。
しかも相手は生まれたてほやほやですので私の寝返りでつぶしたらどうしようとかベッドから落ちたらどうしようとか、そんなことを心配していたら結局殆ど休まることのない入院生活でした。
退院すると大変さはアップします。
シロはとにかくよくぐずる子でしたので、布団に降ろせば泣く、ご飯の支度をすればその間中泣く、私の入浴中は夫の抱っこで延々泣く。
私はシロを泣かせたくありませんでした。ご機嫌でいてほしかった。
だから二人でいる殆どの時間を抱っこで過ごしていました。
私の食事も抱っこしながらパンをかじる、ねんねも抱っこで(私は座った状態でですが)、トイレも我慢。そして夜中は二時間と開かずに授乳。
今思えば良くないんですよ、これ。
よく倒れなかったものです。真似しないで下さいね。
でも初の育児は私の脳をものすごく活性化させてました。
だから全然自分が無茶をしてるとも思っていませんでした。
産後2ヶ月くらいだったと思うのですが、保健師さんの家庭訪問がありました。
私の住む地域では大体このくらいの時期に母子の様子を見に来て下さるのです。
そこで上記のような生活を聞かれるがままに話したところ、産後うつの可能性をやんわりと話されました。
びっくりしました。私は全くしんどいとも辛いとも何とも思っていなかったのですから。
その後4か月健診でも私は別室に呼ばれ、育児の悩みはないかなどと聞かれました。
要注意扱いだったようです(ちなみにシロはこの時点では特に問題なく健診通過)
こんな生活を続けて半年ほどたった頃でしょうか。
私は猛烈にイライラしてきました。
溜まりに溜まった疲れが怒りになって爆発したのです。
矛先は夫に向きました。
仕事で疲れて帰宅した夫をイライラした顔で出迎え怒り散らし、飲み会にでも行こうものならネチネチと嫌味を言い続けました。
あの状態でよく寄り道せず毎日帰宅してきたものだと思います。
飲み会だって数か月に一度程度です。それ以外は趣味のフットサルの誘いも断って育児に協力してくれていた夫を、役に立たないと怒りをぶつけていました。
ある時ふと我に返りました。
どうして私はこんなにイライラしているのだろう。
そしてやっと自分が疲れているのだと、とても疲れているのだと気付きました。
もう1歳に近付いて来た頃の話です。
それから。
私は意識的にシロと離れる時間を作るようにしました。
まだ私がいないと泣いていましたが、夫がいる時は昼寝の間に少し外に出たり。
勿論携帯はしっかり持って夫からのSOSがあれば飛んで帰っていましたが。
それでも一人で過ごせる時間をほんの少しでも持てたことは大きな違いでした。
更に2歳を過ぎてからは時々保育園の一時保育も利用し、ややまとまった一人時間をとるようにしました。
これらのことでわたしの精神的な疲労は徐々に解消し、夫に当たり散らすこともぐっと減りました。
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特に初めての出産の場合、私のように気合が入りすぎてアドレナリン満載になってしまう人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。
「ガンガンいこうぜ」は自分の消耗が激しいリスキーな育児法(?)だと思います。
「いのちをだいじに」というと大げさかもしれませんが、自分のいのちをだいじにすることは子どものいのちをだいじにすることでもあるのではないかと。
そして、おそらくこのブログを読んで下さっている方に多いであろう、発達障害のお子さんがいらっしゃる方。
まだ4歳手前の子しか育てていない身で言うのもなんですが、発達育児は長い期間の体力勝負です、心身ともに。
短距離ダッシュで呼吸があがって倒れるよりも長距離ランニングの息の長さとマイペースさで。
いのちをだいじに、からだをだいじに。