こころはいつもそこに佇んでいた~世界自閉症啓発デーに寄せて~
気付いたら半年以上も放置していたブログ。
久しぶりの記事は、昨年も参加させていただいたなないおさん主催の世界自閉症啓発デーコラボ企画です。
昨年の記事はこんな感じでした。
今年は「嬉しかった(お願いしたい)配慮とありがとうの気持ち」がテーマということで、私という一人の母親の目線から書いてみようと思います。
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息子シロは今年5歳になります。
3歳のときに自閉症スペクトラムの診断を受けました。
具体的な特性としては色々あるのですが、主に強いこだわりや落ち着きのなさ(多動)、強い衝動性、それに著しい言語発達の遅れ等があります。
そんな私たち母子が(というか主に私がですが)一番ありがたかった配慮。
それは「基本的に自由行動」「時の流れを視覚化」です。
・「基本的に自由行動」って?
私は基本的に「子連れ同士で○○」が非常に苦手です。
特に小さい子供がいるとたまーにありますよね。
例えばママ友親子何組かと子連れでランチとか子連れで公園行こうとかショッピング行こうとかテーマパーク行こうとか。
これ、みんなと一緒に行動することがほぼほぼ不可能なんです。
勿論シロが行くのを嫌がったら断るのですけど(無理やり連れて行ってもパニックになるので)嫌がってないからといってみんなと同じ行動をするかといえばそうではないわけで。
シロはシロのペースやタイミングで歩いたり走ったり、或いは帰りたがったり。
「放っておいたらそのうち戻ってくるだろう」という子でもないので、駆け出してしまったら勿論私も追いかけなければいけません。
衝動性が強く、何か興味を引くものを見つけたらそこにまっしぐら。そうなると同行者のことは頭から消えてしまうからです。
「きいろさんだけ話に入れなくて気の毒」
「他の子もいるし少々離れても大丈夫だよ。こっちきて話そうよ」
「シロくんまだ帰るまで時間かりそう?じゃあ来るまで先に駅で待ってるね」
「シロくんそっちの車両に行くの?じゃあ私たちも移動する?」
こういった言葉はありがたくもあるのですが、ちょっと申し訳なさ過ぎて辛くなるときがあります。
「今日は基本的に自由行動にしよう」
この一言が、今までのどんな気遣いの言葉よりも嬉しかったんです。
一緒に行動するのも、一緒に遊ぶのも自由。
一人で走るのも自由。
乗りたい電車や車両を選ぶのも自由。
もし、これを読んでくださっている方で(特に)幼児のお子さんがいらっしゃる方がいたら。
そして子連れでお出かけしたときに同行者の中にちょっと気になる感じのお子さんがいたら。
基本的に自由で、と言うと相手のお母さんの気がちょっと軽くなる、かもしれません。
・「時の流れを視覚化」って?
次は、保育園でありがたかった配慮の話。
シロは夕方の5時になったら保育園に迎えに行きます。
保育園では送り迎えの時間は子供によって違うので、早い子は4時過ぎ辺りからお迎えが来ます。
シロは数字が好きという特性を持っていたため、比較的早くから時計を読むことが出来ました。
が、衝動性を抑えることが難しいシロは、他のお母さんがお迎えにきはじめると教室を飛び出して玄関まで行ってしまいます。
また、時計を読むことは出来ても「あと○分で迎えに来る」という見通しを時計だけで持つのは難しく、不安もあったようです。
私もなるべく少し早めに迎えに行くようにはしているのですが、仕事もあるので4時などは難しく。
そんなことがしばらく続き、保育園が用意してくれたのがこちら。
シロが落ち着かなくなるのは大体4時から4時半くらい。
その辺りにタイマーを5時になるようにセットします。
タイマーが動き始めると↑の画像の40の部分にある針が0に向かって時計回りに動き出します。
それに伴って赤い部分がどんどん小さくなってゆきます。
最終的に0になったところで赤い部分は消えて、アラームが鳴る仕組みです。
シロの飛び出しが増え始めたころ、私はシロのロッカーにアナログ時計の5時の絵を貼り付けました。
時計がこれになったら来るからね、それまで待っててね、と。
毎朝確認しました。
シロは「うん」と言いました。
最初の数日は効果がありました。
しかしすぐに再び飛び出すようになりました。
私の絵とこのタイマーの違いは「時の"流れ"が視覚化されている」ということです。
シロの持つ自閉症特性の中に視覚の強さがあります。
耳だけで聞いたことは頭に残りにくい反面、目で見たことには理解も早く頭に残りやすいです。
飛び出したくなる衝動にかられたとき、目の前に視覚化された「時の流れ」がある。
更に数字好きなことも手伝って、今ではお迎えまでの時間を落ち着いて過ごすことが増えました。
シロは先がわからないことや不測の事態が苦手です。
が、見通しが持てればとてもスムーズに過ごすことが出来ます。
今保育園で比較的穏やかに過ごすことが出来ているのも、細やかな配慮があるからだと思います。
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今回、自閉症とは何ぞや、発達障害とは何ぞやといった説明は割愛しています。
そのせいで若干わかりづらい箇所がありましたら申し訳ございません。
冒頭にリンクを貼った去年のコラボ記事には簡単にですが何ぞやにも触れていますので、良かったらそちらもあわせて読んで頂ければとても嬉しいです。
それでは最後に。
私は当事者ではなく、一人の自閉症児の母親です。
なのでもしかするとシロの本心はこのブログの中にはないかもしれません。
あくまで保護者である私が助かったと思っているだけなのかもしれません。
ただ、言えるのは。
私は別に特別でもない、どこにでもいるごく普通の母親だということ。
だからこれを読んでくださっている誰かの周りにもきっと、一人くらいは私みたいな人がいるかもしれないということ。
そんな人のちょっと漏れた心の声がこのブログ、なのかもしれないということ。