言葉を「感じる」こと。
言葉を「字義通り」に捉える長女〜自閉症スペクトラム障害の一特性 - にののシステム科学講座
こちらのにののさんのエントリーの中に「否定的な言葉をストレートに受け止めてしまう問題」という言葉がありました。
否定的に限らず言葉を字義通りに捉えてしまう。
裏の意味を読み解くことが難しい。
スルーすることが苦手。
自閉傾向にある方にはこういったことが見られることがあります。
ここでいつものように、シロにあてはめて考察して行こうと思います。
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かつて障害児施設で働き始めたばかりの頃です。
利用者の中に一人の中学生の男の子がいたのですが、先輩職員に
「この子はダメとか否定的な言葉を言われるとパニックになりやすい。そういった言葉は使わないように」と言われました。
私はそれを心に留めていたのですが、ある時ちょっとしたきっかけで「そんなことをしたらあかんよ」と口に出してしまったのです。
するとそれまで飄々と遊んでいた子が突然大声で叫びました。
幸いそれを聞いた先輩職員がすぐにフォローに入ってくれたこともあり、パニックはそれ以上大きくならずにその子自身もすぐに持ち直したのですが、私は自分の認識の甘さにショックを受け、そして途方にくれました。
いたずらであったり危険な行為をする子に「○○したらダメだよ」と言うのはごく普通で当たり前のことだと思っていたからです。
他にやめさせる方法がわかりませんでした。
先輩職員の方々の対応を観察しました。
そして私は、否定的な言葉を使わなくても危険回避は出来るのだということを少しずつ学んでいきました。
何が危ないか何がよくないか、代わりにこういう風にしてみたらどうか。
全く別の行為や遊びを提案してみたり。
ダメ、のその先をきちんと説明すること。
そんなことも怠っていたのですね。日常生活においても。
シロが生まれる何年も前の、まだ結婚もしてなかった頃の話です。
仕事を始めたばかりの私は本当に無知でした。今書いてても恥ずかしい。
にののさんのブログの中にもリンクが貼られていますが、
こちらの「あったかい言葉」と「つめたい言葉」、シロはわかりやすく「つめたい言葉」が苦手です。
言葉の内容だけでなく、私の声色(怒ってちょっと低くなったり)や表情なんかでも軽くパニックになることもあります。
実は私、シロが生まれたばかりの頃から意識的になるべくつめたい言葉を使わないようにしてきました。
「嫌い、うるさい、鬱陶しい」は未だに一度も使ったことがありません。
なのでそれらの言葉の意味すらわかってないんじゃないかと思っていたのですが、先日保育園で同じクラスの女の子に何かの拍子で「シロくん、前におもちゃ取ったからキラーイ」と言われたシロは大号泣。
女の子も多分本気で言ったのではなく、ちょっとしたお母さん(私)に告げ口してやろうみたいなノリだったのだと思います。
それをシロは恐らく言葉通りに深く深く受け止め、号泣したのでした。
「嫌い」の意味をわかってるんだなあ。
逆にあなたが好きだと、大好きだと伝えると抱きついてきます。
そして頬をすりすりと寄せてきます。
勿論、わかっています、「好き」も。
シロは喋れないので特にコミュニケーションが難しいです。
最近はかなりの力わざでジェスチャーや指差しやカードなどをフル活用し頑張って伝えようとしていますが、それでも言葉でのコミュニケーションに比べたらやはり伝わりにくいですし、感情の言語化はまだまだ難しいです。
でも、それで何も感じていないというわけではありません。
喋れない子もお喋りが止まらない子も暴言を吐いちゃう子も表情が乏しい子も人よりモノに興味がある子も。
感じています。
私たちと同じように。